「アリス!ネクタイ結べた?」
「アリス、シューズは持ったか?」
保護者かあんたらは!
叫びたくなるのを抑えて首を縦に振るだけの返事をした。いつもは頼ってくる2人は、郁奈の入学式ということで本人以上に張り切っている。
「……私の事はともかく、2人は大丈夫なの?今日入学式じゃん」
「抜かりはない!アリスの世話を焼くためなら、2日前準備なんて楽勝!」
「確認のために朝5時起きなんて楽勝!」
入学式、大丈夫かな?これ。
郁奈はキラッキラの笑顔で世話を焼く2人をみて、ちょっと笑った。嬉しくないと言えば嘘になる気持ちは、なんというのか、郁奈はわからなかった。
「私はもういいから、自分達の準備の再確認しな。忘れ物があったら困るでしょ?」
「はーい」
「おう」
素直に頷いた2人は、自分の鞄のところに行き、確認を始めた。
「忘れ物ない!」
「俺も無い」
「あるよ。忘れ物」
そう言って郁奈が差し出したのは、紙袋だった。その中からは、ふわっと香る匂いに日向は食いついた。
「!カレーだ!しかも、アリス特製のカレーだ!」
「マジか!やっったぁ!」
郁奈は2人の笑顔を見て、用意して良かったと思った。
郁奈はカレーのルーを1つではなく、何種類かを合わせて足りないスパイスは足している。その味が、日向と雪姫にとってはドンピシャな味なのだ。
「それしまったら行くよ。早めに出て遅刻は絶対しないようにしないと」
玄関まで来た時、ふとある疑問が浮かんだ。郁奈は雪姫の幼馴染だが、引っ越した後の家を知らない。日向に関しては、家に行ったことすらないので、知る由もない。
「ねぇ、2人って家どこ?」
「え、言ってなかったっけ?」
「年賀状送ったろ?住所でだいたい分かんない?」
今更?みたいな顔をして言う日向と雪姫に郁奈は、ジト目を向けた。
「分かるわけないじゃん。方向音痴なんだから」
若干拗ねたような言い方で言うと、何故か頭を撫でなれた。
*
『これより、入学式を執り行います』
アナウンスと共に壇上にライトが当たる。
『続いて、新入生代表挨拶。新入生代表、有栖川郁奈』
「はい」
「アリス、シューズは持ったか?」
保護者かあんたらは!
叫びたくなるのを抑えて首を縦に振るだけの返事をした。いつもは頼ってくる2人は、郁奈の入学式ということで本人以上に張り切っている。
「……私の事はともかく、2人は大丈夫なの?今日入学式じゃん」
「抜かりはない!アリスの世話を焼くためなら、2日前準備なんて楽勝!」
「確認のために朝5時起きなんて楽勝!」
入学式、大丈夫かな?これ。
郁奈はキラッキラの笑顔で世話を焼く2人をみて、ちょっと笑った。嬉しくないと言えば嘘になる気持ちは、なんというのか、郁奈はわからなかった。
「私はもういいから、自分達の準備の再確認しな。忘れ物があったら困るでしょ?」
「はーい」
「おう」
素直に頷いた2人は、自分の鞄のところに行き、確認を始めた。
「忘れ物ない!」
「俺も無い」
「あるよ。忘れ物」
そう言って郁奈が差し出したのは、紙袋だった。その中からは、ふわっと香る匂いに日向は食いついた。
「!カレーだ!しかも、アリス特製のカレーだ!」
「マジか!やっったぁ!」
郁奈は2人の笑顔を見て、用意して良かったと思った。
郁奈はカレーのルーを1つではなく、何種類かを合わせて足りないスパイスは足している。その味が、日向と雪姫にとってはドンピシャな味なのだ。
「それしまったら行くよ。早めに出て遅刻は絶対しないようにしないと」
玄関まで来た時、ふとある疑問が浮かんだ。郁奈は雪姫の幼馴染だが、引っ越した後の家を知らない。日向に関しては、家に行ったことすらないので、知る由もない。
「ねぇ、2人って家どこ?」
「え、言ってなかったっけ?」
「年賀状送ったろ?住所でだいたい分かんない?」
今更?みたいな顔をして言う日向と雪姫に郁奈は、ジト目を向けた。
「分かるわけないじゃん。方向音痴なんだから」
若干拗ねたような言い方で言うと、何故か頭を撫でなれた。
*
『これより、入学式を執り行います』
アナウンスと共に壇上にライトが当たる。
『続いて、新入生代表挨拶。新入生代表、有栖川郁奈』
「はい」