「どうしたの」きみと声をかけると

体には小さめな黒い傘で体をぬらした彼は小声を発した。
「校舎の窓から見てました」
そしたら、春雨でぐちゃぐちゃのグランドを、闊歩するヒールの先生を見かけたので、何も考えず追っかけてきたとな。

「赴任したての先生を気づかってくれたんだ」私は作り笑顔で「良い子だね」と教師面した。