Deal×Love

メイクさんが帰るとシンと静まり返った部屋。

二人きりだ。

そう考えると、更に変に動悸が激しくなる。

すると隣から突然カサカサと衣擦れのような音がして。
私はそんな音にもビクッと肩を竦めてしまう。
何をしているのだろうと彼をチラリと横目で確認しようとしたら、

「左手を出して」

海さんから脈絡も無く言葉が飛んできて。
何故に左手て?と疑問が沸いたが、言われるがまま差し出すと、海さんは左手で私の手を掴み、何故か右手を近づけて来た。

その時、左手の薬指にひんやりと金属のような感触を感じて。
海さんの指が外れて薬指を見てみると、そこには大きな石のついた指輪だった。

「これ、もしかして……」

「一応結婚指輪。今日一日だけ嵌めてくれ」

結婚指輪だった。

「寒いといけないから」

指輪まで用意していたなんてと驚いていると、海さんはファーを私の肩にかけてくれた。