おじいちゃんの車は、とても小さい車だった。
軽自動車なんかよりもさらに小さいもの。
車に関する知識が全く無い私には、何が何だかさっぱりわからなかったけれど、おじいちゃんは車に乗って発車するまで、ずっとその車についての魅力を語っていた。

おじいちゃんは運転席で、私とおばあちゃんが後ろ。
家に着くまで三人で話している間、おばあちゃんは一度も私の手を離さなかった。

家に着くと、忘れられない『おばあちゃんの家』の匂いがした。
門から玄関口まで、歩いている間に立つ砂埃や、おじいちゃんが耕している畑、そしておばあちゃんがお世話をしている花の香りが車から降りた私の鼻に一気に飛び込んできた。

荷物を持って玄関まで歩いていって、ゆっくりと戸を引くと、ガラガラという音が心地よく耳に響いた。ここ使ってね、とおばあちゃんに言われた部屋に荷物を置いてから、居間に向かった。

「懐かしい……」

そう呟いて、畳の上でゴロゴロしていると、おじいちゃんが切ったスイカと麦茶を持って来てくれた。
3人で縁側に並んで座ってスイカを食べる。昔のように、種飛ばし競争もした。

スイカを食べ終わったお皿を台所に運んで、そのあとにおばあちゃんと夜ご飯の準備をする。