『「FINGERMAN こんばんわ」おそらくそう言ってますね』
『は?』
『どういうことだ?』
『知りませんよ。それにしても和文と欧文を混ぜて打ってくるから解読に時間が掛かってしまいましたよ』
『なんだよ、それ』
『なんです?あ、和文というのはですね』
『そういうのもういいから』

森は不満そうな顔をしていたが素直に押し黙る。
しかし余計に意味が分からず混乱してしまった。

『フィンガーマンってなんだ?アイアンマン的なことか?』
『さあ』
『良く分かりませんがこれはかなり危険なんじゃないですか?』
『え?』
『だってこの長音…シュッてこする音ありますよね?』
『ああ』
『これってかなり近くにいないと聞こえませんよね?』

ぞわ

森の言葉に身体が震え、サーっと血の気が引いていく。
そこまで深刻に考えていなかったので突然の爆弾発言に脳天でドカンと衝撃が爆ぜる。

『一応ちゃんと文章にはなっているし、偶然こんな音が鳴っているなんて考えにくい。意思を持った何かが木村さんの超至近距離でこの音を鳴らしてるんですよ』
『………』

絶句する俺達に森は容赦なく現実を突き付けてくる。

『でも部屋には木村さん以外誰もいないんですよね?それって…かなりやばくないですか……?』

喉がカラカラで声が出なかった。