菜摘なりに自分の失踪の原因を突き止めようとしているんだろう。
18歳の女の子にこんな話をするのは気が引けたが俺の知ってる限りの情報を伝えた。
菜摘は黙って聞いている。
自分と同い年の女の子がそんなに遠くない場所で殺されるなんてすごく怖いことだと思う。

犯人は6年経った今も捕まっていない。
夜になると人通りが少なく目撃者が現れなかったために難航してしまったのだ。
凶器に指紋がついていたが前歴が無かったため特定には至らなかった。

凶器もありふれたナイフで入手経路から辿ることも困難。
怨恨の線も被害者は大人しい性格で目立ちにくく人付き合いも薄かったため特に反感を買うようなタイプではなかった。

家族との関係も良好。
結局通り魔事件として事件は迷宮入りし鋭意捜査中であるそうだ。

犯人逮捕は期待できないだろう。


菜摘の21日までの予定は鬼のような宿題をこなしつつOBの先輩の現場のアシスタント(いわゆるバイト)に入ったりと忙しそうだった。
比較的家に居るように感じるのは帰宅が遅くなる現場や早朝から入る現場は断っているかららしい。

それからこれは余談なのだが菜摘が夏休みなのに学校に登校していたのは宿題を実習室でやっていたためだった。
土日は学校が解放されていないので家で作業をする。

おかげで俺は菜摘が夏休み中だとは気がつかなかった。