今日は館林も来てくれていた。
休日にまでお前らの顔なんか見たくないって言っていたのに結局は待ち合わせ場所にいた。

館林と森にナツミがストーカーにあっていることを説明した。

『木村さんにしてはやりましたね』
『俺にしてはってどういうことだ』
『確信をついたってことだな』
『俺だってやるときゃやんだよ』
『で、杉田ってヤツはどこにいるんだ?』
『噴水の前に居るように言っておきました』
『お、あそこに立ってるヤツ怪しくないか?』

ヒョロっとした黒髪の男が噴水の前でキョロキョロしながら立っていた。

『おい、あんた杉田か?』

いつの間にか館林が声をかけていた。

『あ、館林さん!ちょっと!』

森の腕をつかんで止める。

『なんすか!?』
『さすがに三人で行ったらビビられるだろ』
『既にビビってますよ』
『もうちょっと様子をみよう』

杉田らしき男はビクビクしていた。

『アンタが杉田か?』

館林がもう一度尋ねると観念したように答える。

『そうですけど…』
『そうか。6年前に失踪した植野菜摘のことを聞きたいんだが』

館林がそういうとただでさえ怯えていた杉田がさらに驚いた顔をして一気に走り出した。

『あ、おい!』

慌てて全員で追いかける。
意外にも杉田は足が早く、あっという間に見失ってしまった。

『はあはあ、森、見失って…あれ?』

俺の周りには誰もいなかった。

『え』

全員を見失っていた。
仕方ないので闇雲に歩いてみる。

『待てって!』

館林の声が聞こえてきた。
声のする方に近付くと、杉田のすぐ後ろを森が、そのちょっと後ろに館林が走っていた。
アイツらずっと走ってたのか。
すごいな。

杉田が急に曲がってこっちに向かって走ってくる。

『うわ』

びっくりしながら両手を広げた。
すると杉田は驚いた顔をして道なき道へ向かおうとした。

『待てっつってんだろ』
『わっ』

館林が杉田にタックルをかまして動きを止めた。
そのまま杉田が転びそうになるのを館林が両腕でガッチリ支え、なんとか怪我は免れた。

『逃げんな、話聞くだけだ』
『誰なんですか、あなたたち』
『植野菜摘の知り合いだ』

そう言うと杉田の抵抗が弱まった。