『おい、まじかよ』
『やっぱりナツミは幽霊だったってことですよね?』
『そうなっちゃうよな…』
『失踪してすぐに亡くなったのでしょうか』
『おい、森!』
『あ、すみません』

館林が森を小突いた。
それを横目にガックリ項垂れる俺。
森は懲りずに話を続ける。

『パラレルワールド説はなくなりましたね』
『そうだな』
『で、でも!別の世界ではナツミは失踪してなくてあの家に住んでるのかも!』
『それはないな』
『どうして!?』
『平行世界のナツミが生きているとしたら24歳になってないとおかしいんですよ』
『……!』
『まあ、サバ読んでたらパラレルワールド説もまだ可能性はあるかもな』
『確かに女性は年齢隠したがりますもんね』
『……』
『調べてみませんか』
『は?』
『植野菜摘さんのこと』
『調べるって?』
『もしかしたら同姓同名の別人ってこともあるかもしれませんし』
『た、確かにまだナツミが失踪した女の子とは限らないもんな!』
『99.9%そのナツミだろうけどな』
『余計なこと言わないでくださいよ』

二人は気落ちしている俺を元気づけようとしてくれていた。
仮にナツミが失踪していたとしてなぜ失踪してしまったのか知りたいと思った。