俺もずっと一緒にいるのに相棒から昇格した事はない。男として見られる事は1度もなかった。けれど、ハウラムだけは違う。彼女がハウラムだけに見せる特別な表情があるんだ。俺たちに見せた事も、見せる事もなかった女の表情。男として愛してしまっている時に見せる弱々しい女の顔。そして、互いに動揺しながらも赤く染めた顔。
俺はハウラムが嫌いだ。彼女を困惑させ、女にしてしまうハウラムが嫌いで仕方無い。確かに俺に彼女との距離感を考え直させてくれたのはハウラムだ。そのおかげで彼女の右腕になれて感謝もしている。でも、だからって近付いて良いわけじゃない。それとこれとは話が別だ。俺が一番近くにいたい。恋仲にだけはなってほしくない。

「なぁ、エレナードさん。あなたは俺が嫌いですか」

ハウラムの問いかけにゾーラ医師が感心するような表情を見せた。きっとリオディナとハウラムの会話で目が覚めてしまったらしい。