同じ馬の匂いが確りと染み付いているという事は愛馬なのだろう。ハウラム本人に聞くより愛馬から聞いた方が信頼できるかもしれないな。ヘゥインのためにも会わせてもらうか。

「お前に嘘偽りがないか確かめたい。先にお前の乗ってきた馬と話をさせてくれ」

ハウラムは分かったと言うと俺を連れて愛馬の許へ向かった。余計なお世話だという事は自分でもよく分かっているんだ。でも、会わせても傷付かない確証が持てなければ俺が嫌だったんだ。ヘゥインの悲しそうな表情を見れば、会わせなければ良かったと後悔するから。
連れてきてくれた愛馬に触れるとハウラムとの日々が流れ込んできた。中には傷だらけで血を流している物もあったが、一番気になったのは彼女を徐々に思い出して行っているという所だった。名前、姿、声、仕草、彼女への思いを思い出しては愛馬に伝えていた。でも、顔だけが思い出せないんだと悔しがっているハウラムがいた。