ハウラムを甘く見ていた訳ではないが、俺たちより戦闘力が無いのは事実。それに俺にも情という物が出てきた。一度は共にお嬢さんに仕えていた者同士、争いは避けたかった。お嬢さんも、俺とハウラムが争う事を望んではいないはずだから。
ただ、一つ幸いと言えるのはお嬢さんが眠っている時に動いてくれたという所だろうか。お嬢さんが起きている時に出て来られると、高い確率でお嬢さんは泣き出しそうな辛い表情となるだろう。
彼女の辛い表情は何度見てもなれない。見ている時間がどうしても辛い。例え少しの間であったとしても、永遠に続いてしまうような長い時間に思えてならないんだ。

「お前ら、何者だ。カーレイジの知り合いか?」

何もせず立ち去ってほしいと求める事が間違っていたのかもしれない。本当に関わりたくなかったのであれば、気配に気付いた時に彼女を連れて立ち去れば良かったのだから。