普通、人と人なんて分かり合えないもんだ。たぶん今、こう思っただろうな、ああ思っただろうな。一つ一つの仕草を見ながら感じ取って予想して。一緒にいればいるほど予想が本音に近いものになっていく。例えば、カーレイジの戦死について彼女がせめて一緒に死ねたらと思った事があるとかな。実際、訊いてはいないが彼女の性格なら思いかねないと俺は思う。
予想が相手の本音に近ければ近いほど、周りの人々は互いを理解しているんだと思ったり仲が良いんだと思ったり。時には思い込んでいるせいで俺はあいつより彼女を理解していないんだと落ち込む。

「お前が一人の生き物としてちゃんと生きれている証拠だ」

好きなだけ悩むと良い。彼女の倍以上生きている俺でさえ、分からないと思う事が多い。特に人の心なんて何年経とうと正確な物は分からない。だから人は知りたいと思う。たくさん接し、知っていって絆を作っていく。そして、いつの間にか作っていた絆が相手を理解している量になる。