もし出会ったのがヘゥインではなく自分だったら、カーレイジはどうしたのだろうと。真実はカーレイジ本人に訊いても分からないとは思うが、友達以上の存在になれていたと俺は思う。忘れてしまった後のカーレイジの事はあまり注意して見ていなかったが、忘れてしまう前のカーレイジなら好きになれたはずだ。

「兄弟とまでは分からないが、友達以上にはなれていたと思うぞ」

カーレイジにとっても、お嬢さんにとっても。互いが互いを基準に考えていたからな。この判断はカーレイジが嫌がっていないか、この人はお嬢さんが信頼している人物だろうか。お嬢さんが果物を好いていたからカーレイジも果物を好きになったし、カーレイジが血を嫌っていたからお嬢さんも血を避けるようになった。二人にとって二人はいなければならない存在であったのに、運命は意図も簡単に二人を引き裂いた。