母もいないんだから近付く必要なんてなかったし、別に仲良くする事もなかったはず。ずっと隠していたくせに、母が亡くなった後で国王になったのもよく分からない。母を殺したいほど恨んでいたのなら自分が王族の血を受け継いでいると兵士になる前に言えば良かったんだ。当時なら証拠なんていくらでもあったのだから。どうして一度、兵士になってから国王の座に着いたのか理解できない。ヘゥインを殺すつもりだったのならまだしも結局、亡くなるまで友のままだった。
一体、何をしたかったんだろう。恨んでいた人物の子供を知って何を思っていたのだろう。

「なぁ、何で元国王とは仲良くしていたんだ?」

仲良くなった日は覚えているんだ。確かたまたま城に寄る依頼があって、へまをして不法侵入だと気付かれた時に見逃すよう命令してくれたのが当時国王だったレンだった。