別に一人として見られていないと拗ねている訳ではないし、今までヘゥインの中にいたんだから当たり前の事なんだけれど、何で俺にはヘゥインで言うエレナードのような運命より上の所で繋がれた親しい人がいないんだろうって虚しくなる時がある。俺も、魔女の宿命をもろともしないような人と出会いたかったって思ってしまう時があるんだ。

「移動するか?」

「うん、お願い」

エレナードの首に回されたヘゥインの腕を掴んで俺の方へ引いてやろうって考えもした。俺が一人、心だけ置いていかれそうで。一人ぼっちになりそうで怖くて。でも、伸ばしかけたけどヘゥインの腕を掴む事は出来なかった。ヘゥインの腕を掴んでまで、エレナードから引き離す気になれなかった。ヘゥインがエレナードを一人の人としてずっと信頼している事を知っていたから、途中から来た俺に止める権利は無いんだって空気を掴んで終わったんだ。