抱き締めた彼女の体はちゃんと温かかった。夢で会っているはずなのにこれが人の体温なんだととても落ち着けた。泣いている彼女には悪いが、彼女を抱き締める事が出来て安心していた。これからは俺も彼女を守れるんだって嬉しくなっていた。
ずっと見守る事しか出来なかったから浮かれているんだ。彼女は泣いているというのに、俺はやっと自分の手で守れるんだって舞い上がっているんだ。

「あんま目を擦るな。腫れるぞ?」

「何で嬉しそうなの~?」

声でバレたか。でも、もう何でも良いや。あの鬼が忘れてくれなかったら、ヘゥインが傷付く事もなかった。俺がそばで頼られる事もなかっただろう。傷付いているヘゥインには本当に申し訳ないと思うけど、今の未来で良かったんだよ。