きっと舞踏会に出席するためのための衣服に着替えるのだろう。急な予定だからな。顔を出せなくても無理はない。となると、お嬢さんも準備を始めるか。今までならリオディナとゾーラ医師が手伝っていたから俺たちも部屋を出て待つ事が出来たが、今は違う。かと言って今まで関わった事もないメイドに頼むのも不安だ。

「皆はそこにいて。ゾーラ、今日は一人で大丈夫」

「いや、俺たちは外にいる」

安心したような彼女の表情が俺の目に焼き付いた。平然に見えても怖いのか、俺たちの不安を悟っているのか。お嬢さんは俺たちに出ていく事を止めたが、俺の提案を喜んでいた。
お嬢さんも一人の女。見ないにしろ、男の俺たちがいる部屋で着替えなど本当はしたくないだろう。本当はゾーラ医師やリオディナも嫌だったのかもしれない。