「わかるような気がします」

「結婚なんて考えたこともなかったのに不思議なものだな。そういえば、さっき専務が緑川主任に誰か紹介しようかって言ってたけど、断っといたから。じゃあ、お疲れ様」

「お疲れ様でした」

思わずブルッと身震いした。

つまりはあの厄介な専務のターゲットが俺になったということだろうか。

颯爽と去っていく課長の後ろ姿をただぼんやりと眺めていた。