頼が囁く、私の耳に。
“俺といて嬉しくてたまらない顔しろ”
それってどんな顔よ!
「 羽奈 」
「 ん?」
「 お前の後ろ、2時の方角に女が覗いてる 」
「 え!」
「 こらっ 振り向くな 」
ちょっとマジなの?
頼に一目惚れなら好きって事よね、勝手に。
でも頼に変なことはしないんだよね……
ほっといてもダメっぽいし、どうしよう……
頼が私の肩に腕を回して歩き出すと、いきなり目の前に女が現れた。
「 あの!」
この人がそう?
「 泉沢君の彼女ですか?1番の 」
「 1番の? え、と~… 頼に用?」
「 私は… 2番目の彼女希望です!」
ヤ、ヤバ… 意味わかんないわ。
1番とか、そういう問題じゃないのに……
「 あのさ、俺断ったよね彼女いるからって 」
「 はい… 」
「 周りが知らないだけで私と頼は何年も前から付き合ってるの、普通に家族ぐるみで 」
嘘は言ってないからね。
そう言うと女は涙目になり始めた。