なんだろね、と私は頼を無視して講堂から出て、女の群れを見つけて追いかけていく。

何やら遠巻きに誰かいるのか騒いでいる女達。



なーんにも見えない。


「 羽奈! 勝手に行くな 」

「 ごめん頼、だってさぁ見てよ、あの人だかり 」

「 それは、あれだ 」



あれとは何だ?



頼は私にスマホ画面を見せた。

私の府抜けていた心臓が高鳴り息を吹き返す。

トクトク、トクトク、トクトク……



私は知ってる。

凛が異国で勉強も頑張り、しかも信じられない仕事をしていて、すでに有名になってる事。

私の可愛い生意気な凛が、遠くに感じていた。

どんなに悩み会いに行かなかったか……

1発、殴ってやりたい。



震える体に思いが溢れてくる。

会いたい奴がすぐそばにいる。



「 凛… 」



私の声なんて、届かない。



「 羽奈、凛を呼べ、叫んでやれ 」



うん、そうする。

私の声… 忘れたなんて言わせないから。



「 ……凛ーっ!!」