「 あー…… 美世~ 千草~ ココアちょうだいな 」

「 あんたねぇ寒いからってダラダラして、自分で買って飲みなよ 」

「 あ、泉沢兄だよ 」

「 え~ あ、ほんとだ 」



頼は私の側から離れない、まぁほどほどいい距離感でいてくれる。

それは可愛い弟のため、私を守っている。

ついでに言えば男という悪い虫を寄せ付けないためだ。

だからまだ、私と頼は恋人設定中。



「 羽奈 」

「 頼、ココア~ 」

「 またかよ、ほら行くぞ 」



「 優しー!いいなぁ羽奈 」



はいはい、っと。


羨ましがられても損得なし。

頼は誰にでも優しいからね、今でもたまにあるんです。



「 あの!泉沢さん、突然ですがお話があります!」



私が一緒にいても告白したい女が来る。

すごい度胸、毎度感心しちゃう。



そんな中、ざわつきが耳に届き、頼と顔を見合わせる。

なんだなんだと聞き耳立てるうちにざわつく声がハッキリとしてきた。

誰かが来たと、黄色い甲高い声に向かって行ってみる。


そして、頼に電話で画面に出た名前に驚き出た。



『 羽奈はどこ?』