頼は毎日数回羽奈の写真を凛に送っていた。

その写真を見るたびにイライラしながら羽奈を見つめている凛。

凛は持ち前の性格で案外異国の地でも溶け込んでいるためホームシックにはならず、ただ羽奈不足なだけ。

会いたい気持ちが募るだけ、我慢する凛。

そんな凛に転機が訪れた。



「 君、日本人だよね?私はこういう者です。良かったら話をしませんか?」

「 やだね 」

「 えっ、あの、待って!5分だけ!」

「 3分 」



話はこうだ。


モデルスカウト担当、佐村 晃史。

ちなみにイケメン好きで見る目は確か。

凛は意外にも身長がまた伸びて髪も染めてカラコンまでしているため羽奈の知る凛の容姿とは違う。

そんな凛に一目惚れした佐村さん。

冷めた表情がたまらないと言う。

凛はひたすら黙って聞き入れ、佐村さんが最後にこう言った。



「 君を独占したくなるほど世の女性や男性を惹きつけてみないか?」

「 ……詐欺?」

「 違う違う!断じて、ない。これは運命かな、休暇で来て君を見つけるなんて 」

「 あんたと俺が運命?キモッ… 」



去ろうとする凛に佐村さんはまた言った。



「 君が愛する人に成長と変化、男を見せられるチャンスだよ!愛する人を虜にしたくないか?」



歩く足を止めた凛。

頭の中には羽奈がいる。



「 特別待遇ならやってもいい 」



凛の決意、それはいかほどか。