あまりにもベタすぎて思わず笑ってしまった。


中身を開いてみると。
少し可愛い丸い文字で、放課後裏庭に来て下さい。
そう書いてあった。


女の子の文字にしては少し角ばっていて。
やっぱりじっと見てみたら男の子の文字で。
私の心はドキドキ、心拍数を上昇させた。


告白なんてされたことないし。
もちろん、したこともない。


今まで無縁だと思っていた世界に片足を踏み入れた気がして。
少し、浮かれてしまっていた。


その日の授業はなんだかよく分からなくて。
ふわふわ、そんな気分で。
地面から5cmくらい浮かんでる気分だった。


そんなこんなで訪れた放課後。
浮足立って裏庭に向かって、現れる相手を待っていると。
そこには、彼がいた。


彼を見た瞬間、私は浮かれていた心の上に重りが置かれた気がした。
鉛のように身体が重くなる。


それと同時に。
身体が震えだして、足はガクガク。
自分の名前のごとく、羊のようだった。
食べられる前の羊。


そう、現れた彼は。
学校でも知らない人はいない。
それほどの有名人。
しかも、悪い意味での。