「俺さ、莉華としたいことが沢山あるんだ」
「したいこと?」
「旅行とか……新婚じゃないけど、新婚旅行とか、行かない?」
「旅行……」
「結婚してからというもの、ずっと、莉華は考え込む生活ばっかりで……俺、忘れてないからね?『離婚してください』って言われたの」
「う゛っ……」
「前は言い返せる状況じゃなかったけど、今は色々とできる権力、手に入れたから」
自分に権力が集中しているって、気分良いよね。
ニコニコ笑ってそう言うと、莉華は身を引いて。
「陽向、黒いよ……」
「知ってるよ。これくらいが、御園で生きるには好都合ってこともね」
油断したら、自分の大切なものを傷つけられる。
なら、その前に叩き潰せば良い話。
「……莉華?」
笑って眺めていると、唐突に黙った莉華。
不思議に思って、顔を覗き込むと。
「陽向、格好良くなったねぇ……」
「え?」
そんなことを、呟いてて。
「どういう意味?」
「あ、いや、前も勿論、イケメンだったんですが!」
「そんなフォローを聞いているんじゃないよ」
呆れて、笑いが出てくる。
すると、莉華が。


