☆君との約束





「まぁ、良いよ。嫌でも、これから体力はつくだろうし」


「……それは、どういう意味でしょうか……」


「そのままの意味?」


「怖いよ、陽向……」


十六年間、俺と過ごした記憶がなくても、俺の言葉の裏を取れるなんて、流石。


「怖いことは、何もないよ。莉華の脅威となりうるものは、現在進行形で排除してるから」


「……満面の笑顔でいうセリフじゃない……」


「ええ?」


自分、今、かなり調子がいい。


莉華が目覚めてくれたからだろう。


陽希には、怒られそうだが。


「……それよりさ」


「ん?」


莉華は戸惑いながら、指遊びをしながら、俺を見上げてくる。


「長い間、待たせたのに……それでも、私でいいの?陽向は……」


「……」


長い間って言っても、十六年。


たかが十六年、されど十六年。


「と、言うけどさ。俺、莉華以外の女と結婚するなんて考えたこともないよ」


「……」


「莉華が良いの。―莉華は俺だと不満?」


「まさか!いや、そんな!滅相もない!!」


……十六年間のブランクか、なお一層、莉華の面白さに極みがかかった気がする。


「じゃあ、いいじゃん?」


「……陽向、かなり前向きな性格になった?」


「お陰様で」


「……なんかごめん」


「謝る必要なんてないでしょ」


そう、謝る必要なんてどこにもない。