「愛してるよ、莉華」
色んなものを失った。
久貴も、事故で死んでしまった。
甘寵殿もなくなって、莉華の知る頃から三回ほど、御前の当主も変わったよ。
莉華が楽しみにしていた魅雨と陽希の子供はもう立派なお姉さんになったし、
本当に、色んなことがあったんだよ。
何度悔やんでも、結局、手放す道は選べなかった。
「愛してる」
「ひ、陽向……」
顔が赤い。
反応返してくれるだけで、こんなにもほっとする。
「莉華」
「んっ?」
涙を必死に拭って、可愛いなぁ。
「キス、してもいい?」
「……」
訊ねると、莉華は目を瞬かせて。
「…………………………へ!?」
「長い、長い。間が、長い」
真っ赤になって……もう。
自分が四十路ってこと忘れて、学生時代に戻りそう。
「だっ、だって……陽向、伺いとか、立てたことあったっけ!?」
「……あったっけ?」
「ないでしょ!ない!」
「……」
「びっくりした!びっくりした!!」
「……」
顔真っ赤……ここまで来ると、さすがに面白いよ。
「それってさ、OKってことでいいよね?」
「っ、……」
「ま、ダメって言われてもするけどね」
引き寄せて奪えば、莉華は肩を震わせて。


