☆君との約束




「………っ」


「莉華が嫌なものは、全部消してあげる。何でも叶えてあげる。だから……どこにも行かないで。俺からっ、離れていかないで……」


頬を撫でると、莉華は目を潤ませていた。


「……莉華?」


「っ、」


「守るよ。今度こそ。ちゃんと、守るから。だから」


君と生きていくためなら、なんでもするから。


だから、離れる選択だけはどうか―……。


「……っ、どこにも行かないで、なんてっ、こっちの台詞なのに……っっ、」


「莉華?」


「ごめんっ、ごめんね……。長い間、一人で逃げたりして、ごめん……っっ!」


「そんなこと……」


「どこにも行かないっ。今度こそ、陽向のそばにいるよ。その為に、強くなるよ。だからっ、」


莉華は泣きながら、でも、ちゃんと、言葉をくれた。


俺を責めてもいいのに責めもせず、ただ泣いて、そして、笑って、


「ただいまっ」


ーそう、笑顔で。


「莉華……」


「傍にっ、いてもいい……?」


しゃっくりを上げて、泣きじゃくる莉華。


そんな彼女を腕の中に閉じこめて、


「いてよ」


希う。


「いてくれないと、困るよ……莉華のいない人生なんて、ここ十六年、一度も……」


嘘だ。


彼女を手放すべきか、何度も考えていた。


それでも、自分は―……。