「………っ」
「莉華が嫌なものは、全部消してあげる。何でも叶えてあげる。だから……どこにも行かないで。俺からっ、離れていかないで……」
頬を撫でると、莉華は目を潤ませていた。
「……莉華?」
「っ、」
「守るよ。今度こそ。ちゃんと、守るから。だから」
君と生きていくためなら、なんでもするから。
だから、離れる選択だけはどうか―……。
「……っ、どこにも行かないで、なんてっ、こっちの台詞なのに……っっ、」
「莉華?」
「ごめんっ、ごめんね……。長い間、一人で逃げたりして、ごめん……っっ!」
「そんなこと……」
「どこにも行かないっ。今度こそ、陽向のそばにいるよ。その為に、強くなるよ。だからっ、」
莉華は泣きながら、でも、ちゃんと、言葉をくれた。
俺を責めてもいいのに責めもせず、ただ泣いて、そして、笑って、
「ただいまっ」
ーそう、笑顔で。
「莉華……」
「傍にっ、いてもいい……?」
しゃっくりを上げて、泣きじゃくる莉華。
そんな彼女を腕の中に閉じこめて、
「いてよ」
希う。
「いてくれないと、困るよ……莉華のいない人生なんて、ここ十六年、一度も……」
嘘だ。
彼女を手放すべきか、何度も考えていた。
それでも、自分は―……。


