とてとてと、拙い足取りで歩いてきた相馬。
「相馬?どうしたの?」
「……」
相馬は無言で、俺のそばにある机の上のティッシュケースに手を伸ばす。
「ティッシュが欲しいの?どうした?鼻噛む?」
「……っ、」
首を横に振る相馬。
「りっちゃんが……」
そして、小さな声で言った言葉。
思わず、駆け寄るよね。
莉華のそばに行くと、ボロボロと涙を零した莉華。
「莉華?どうした?何か、嫌なことでもあった?」
そう尋ねると、ぎゅっと服の裾を握ってくる依。
依のせいではないんだけどな。
依の方を見て、大丈夫だよ、と、頭を撫でてやる。
相馬は無言で、莉華にティッシュを差し出してる。
「……陽向」
名前を呼ばれる。
「ん?」
たまの、気まぐれ。
決して、あとには続かない、いつもの―……。
「ごめんね」
「……」
「弱くて、ごめん」
……いつものでは、無かった。
「陽向?」
「……」
俺の中の、何かが壊れてしまったように。
「ひなくん?」
依が手を引く。
「……」
相馬が手を握ってくる。
分かるのに。
分かっているのに。
「ただいま……」
―ああ、久しぶりの、君の"本当”。


