☆君との約束




『陽向さんこそ……苦しいなら、苦しいって言ってください』


―見透かされた。


莉華は、どれだけ潰されたんだろう?


莉華を追い詰めた女を、父親諸共、社会的に殺してやった。


結果、襲いかかってきた。


セキュリティーの酷い、あの家の中までだ。


もちろん、誘導した人間がいて。


それは、俺が昔好きになりかけて、裏切られた女で。


身柄は拘束されているみたいだし、今度こそ、社会的だけではなく……ああ、何で、こうなんだろう。


どうして、まともに生きることを許してくれないのか。


許してくれよ。


俺達はただ、幸せになりたいだけなんだよ。


どうか、どうか―……。


『早く、元気になれ。馬鹿陽向』


『陽希』


『やるんだろ?……最近、家の中の空気がおかしい。徹底的に、俺たちを駆除するつもりらしい』


『……親父と母さんは?』


『報せは飛ばした。あっちもやばいみたいだからで、ちゃんと逃げてもらっている』


この時の俺達は、二十八歳。


家から出る決意をしたのは、二十六歳の終わり。


魅雨と陽希が良い感じになって、結婚する寸前。


実際に家から逃げようとしたのが、二十七歳。


そして、寝込んでいる間に、二十八歳になってしまったらしい。


自分でもびっくりするような、誕生日の迎え方である。