☆君との約束




『莉華……?』


俺が名前を呼んでも、返事は返ってこない。


『莉華っ!』


声が、張り裂けそうだった。


でも、その時になって、痛みが―……俺は、意識を失った。


人外の血が入った、己の身も限界だった。


次に、目覚めた時。


俺は、病院のICU(集中治療室)にいた。


そこは、倉津医師の伝手によるもので。


俺を看たのは、倉津医師と久貴くんらしい。


そして、事の顛末を聞いた。


『……また、世話になったね』


『無理するの、好きなんですか』


元気がなさそうに、訊ねられる。


どうして、元気がなさそうなのかって?


理由は簡単だ。


―莉華が、壊れてしまったから。


結局、適応障害なんて可愛いもので済まなかった。


俺は守りきれなかったのだ。


彼女は入院ではなくて、そういう施設に入ることが決まった。


そして、俺は莉華を追い詰めた奴らを、徹底的に潰すことを決意した。


そこの施設だったら、絶対に手を出せないことに気づいたから。


『……助けてくれて、ありがとう。約束を守ってくれて、ありがとうね。久貴くん』


『でも……俺、莉華さんは……』


『莉華は、心の病気だから。仕方ないよ。専門外でしょう?』


『それでも、それでは医者と言えない』


『真面目だね、久貴くんは。そんなに無理しなくていいと思うよ?』


笑っていたつもりだった。


鬼の血のおかげが、回復はすごい早かったみたいで。


笑いかけると、久貴くんは苦しそうに。