莉華は純粋な目で、陽希を見上げて。 「猫。可愛い、可愛い、私の大切な猫ちゃん」 撫でるそぶりで自身の膝の上を見る莉華を見て、戸惑う陽希に助けを出すように、 「どんな猫ちゃん?」 看護師さんが助けてくれて。 「真っ黒な目のね、かわいい猫」 「真っ黒?毛並みは?」 「真っ黒だよ」 幼い少女のようにそういう彼女に、陽希の胸は痛み続ける。 疲れきって、空想の世界へと逃げ込んだ人。