☆君との約束




『やるんだったら、徹底的に叩こうぜ』


『私も手伝うよ!』


魅雨は漸く、家とのいざこざが何とかなりそうで……自分の力を恐れているのに、そんなことを言ってくれる。


そして、魂の片割れの兄もまた、こんなにも優しくて、俺には痛いほどに真っ直ぐで。


『何があっても、助けてあげる。だから、思い存分、貴方はやってもいいよ』


笑顔で、君も力になってくれる。


『―……ありがとう』


言われてみれば、色々と我慢していた気がする。


手を出さない方が、黙っている方が、抵抗しない方が、きっと、莉華を守れると勘違いして。


違う。


守りたいものがあるのなら、その身を犠牲にしてでも、やれることはやらなくてはならないんだ。


その覚悟がないと、ここでは生きられないことを知っていたのに。


それから、三日後。


目覚めた莉華は一番最初に、俺を求めてくれた。


ぼんやりと宙を見つめながら、魅雨に話しかけられて、一番に、俺の名前を呼んでくれたんだ。


『莉華っ、』


抱きしめた。


もう、離したくなんて無かった。


彼女が眠っている間、多くのものを処分した。


大人しくしていた反動のように、鬱憤晒しで集めていた全ての情報を開放したのだ。


案の定、叩かれまくった御前の当主やその他諸々の女達は、御園の家から永久追放、そして、社会的にも行く宛は無くなって、またひとつ、恨みの花を家紋に刻みつけた俺だったが、それでも、心は軽くて。