☆君との約束




『……凄いね』


『え?健斗が?そうだなー、あいつは凄いよ。俺から見ても、とてもじゃないけど……』


『うん。彼もそうだけど、君も』


俺は結局、口ばっかりで。


守りたいって、そんなことばかりで。


周りが見えなくなっていて。


『……莉華を、助けてくれてありがとう』


俺の唯一無二の、大切な人を。


細くなりすぎた身体は、まるで、春馬を抱き上げた時並に軽くて。


その事に、少し涙がでる。


『……陽向さん、本当に彼女が大事なんだ』


『うん。めちゃくちゃ、大事。彼女がいない世界なら、一秒たりとも、いることが嫌になるほどに』


『わぁ、ベタ惚れだ』


『ね、自分でもびっくりだ』


執着なんて、するつもり無かった。


したって、ろくなことにはならないとわかっていたからだ。


でも、そんな俺の思いをも飛び越えて、莉華は俺の世界に飛び込んできてしまったから。


『大切にしてあげて。それでもし、何があっても、必ず、俺が助けてあげるから』


『本当に?』


『ああ!医免は持ってないけど、大学に入ったら、すぐにとるよ。だから、あと、六年ほど我慢してもらわないとだね』


『天才でも、大変だね?』


『そっかな。でも、その間、存分に沙織といれるし、薬の研究もできるし、俺は俺の人生をそれなりに満喫していると思うよ』


楽しそうに笑う姿は、ただの青年そのもので。