☆君との約束




『莉華の様子は―……』


『分からない。眠ってる』


さっきまで荒れた呼吸だったけれど、今は落ち着いていて。


『大丈夫だよ。適切に処置したから、毒の心配はない。―そんなことより、毒殺なんて……また、古臭い方法を使うんだね。御前の人間は』


『……っ、済まない、君にも迷惑をかけたな』


『迷惑?何のこと?』


『その……』


『目の前に助けるべき命があったから、俺は助けただけだよ。陽向さんが謝るなんて、そんなことをしなくていいの。俺、これでも、天才様だからね』


自信に満ち溢れた、久貴くん。


『……君は、雪さんと知り合い?』


『?、どうしてそう思ったの?』


『さっきの話、どっかで聞いたことがあるなって』


『ああ。健斗のことでしょ』


幼なじみの話を始めると、彼は苦笑して。


『面倒くさいやつだよ。でもね、どうしても放っておけないんだ。とても、人生に諦めをつけているようなやつだから……放っておけなくて、見捨てられなくて、仕方ない。こうなったら、最期まで付きやってやるってね』


困ったように笑いながら、でも、どこか嬉しそうな彼は、幼なじみの話をする時はとても優しい顔をする。