☆君との約束




『てめぇみたいなのが、上に立つから、この国は腐っていくんだ。とっとと、退け。クソ野郎』


―抵抗なんて、出来ただろうか。


一気に距離を詰めた彼は、当主の口に何かを放り込んで。


当主は慌てるあまり、それを飲み込む。


『っ、なっ、何を―……』


『さあ?効き目が出てくるまで、怯えて生きてみればいいんじゃない?』


ニッコリ、久貴くんは笑って。


『じゃあね、おじさん』


ひらりと手を振ると、


『陽向さん、莉華さん連れて、ついてきて』


と、言われた。


小さく頷いて、莉華に手を伸ばそうとすると。


『ひっ、陽向様っ』


『助けてくださいっ、私は貴方を支える為に―……っ』


助けを求める目を、奴等は向けてくる。


―知らないよ。


要らないよ、あんたの助けなんて。


心は自然と、冷めきっていた。


さっきまでは、あんなにも怒りで震え上がっていたはずなのに。


『……』


―彼女達は俺と目が合うと、黙り込んだ。


そして、ただ、震えるだけ。


無言で、俺は莉華を抱き上げて、春馬を連れて、部屋から出る。


『―陽向っ』


騒ぎを聞き付けたのか、急いで帰ってきたらしい魅雨と陽希。