『―陽向』
そんな最高の状況なのに―……空気を読めないのか、障子の向こうから、声をかけられる。
「何、陽希」
しかも、読めていないのは魂の片割れ。
片割れなら、片割れらしく読んでくれよ。
『機嫌悪いな……。ちょっと、今、良いか?』
「ダメって言っても、どうしても、なんだろ?」
『うっ……まぁ……』
「はぁ、じゃあ、入れば?」
『莉華はそこにいるのか?』
「いるよ。襲おうと思っていたところだよ、ったく……」
『そ、そうか……それは……すまん』
どもっている声からして、絶対、顔を赤くしてんだろうな……双子でありながら、どうしてこうも違うのか。
父親に似たかどうかなのか?
素直で純情な陽希は謝りながら入ってきて、俺に押し倒された莉華は俺の腕をバシバシと叩いてくる。
「―で、何?」
仕方なしに起き上がって、陽希を見上げた。
莉華は自身を守るように腕で抱いて、俯いている。
「莉華……心配するな、聞いてない」
「嘘ですっ!」
「大丈夫。大丈夫だ……」
「じゃあ、目を逸らさないでくださいっ」
二人とも、顔が赤い……。
どうやら、さっきの行為を聞かれていたかもしれないと、莉華は焦っているらしい。


