☆君との約束




『―陽向』


そんな最高の状況なのに―……空気を読めないのか、障子の向こうから、声をかけられる。


「何、陽希」


しかも、読めていないのは魂の片割れ。


片割れなら、片割れらしく読んでくれよ。


『機嫌悪いな……。ちょっと、今、良いか?』


「ダメって言っても、どうしても、なんだろ?」


『うっ……まぁ……』


「はぁ、じゃあ、入れば?」


『莉華はそこにいるのか?』


「いるよ。襲おうと思っていたところだよ、ったく……」


『そ、そうか……それは……すまん』

どもっている声からして、絶対、顔を赤くしてんだろうな……双子でありながら、どうしてこうも違うのか。


父親に似たかどうかなのか?


素直で純情な陽希は謝りながら入ってきて、俺に押し倒された莉華は俺の腕をバシバシと叩いてくる。


「―で、何?」


仕方なしに起き上がって、陽希を見上げた。


莉華は自身を守るように腕で抱いて、俯いている。


「莉華……心配するな、聞いてない」


「嘘ですっ!」


「大丈夫。大丈夫だ……」


「じゃあ、目を逸らさないでくださいっ」


二人とも、顔が赤い……。


どうやら、さっきの行為を聞かれていたかもしれないと、莉華は焦っているらしい。