☆君との約束





「ねぇ、莉華」


「ん?」


「約束、覚えてる?」


『お互いを、生涯愛し抜く』


それは、あの日の誓いであり、俺らの間で輝き続けるひとつの約束。


「覚えてるよ。覚えてなかったら、私、今でも陽向に愛されているなんて信じられないし。正直、陽向を置き去りにして、逃げた自分は陽向に相応しくないって、思ってるもの」


たった、一言。


依のたった一言で、気がついてくれた莉華。


真面目に考えてみれば、それもかなり凄いこと。


「ふーん?」


「あっ、でも、愛されてないって思っているわけじゃないからね!?」


「いやいや」


「誤解しないで。陽向が愛してくれてることは、ちゃんと……」


「分かってない」


抱きしめて、抱え込むようにして、キスをする。


きっと、莉華は知らないよ。


知らなくて、いい事だし。


ずっと、隠してきたんだし。


「……っ、ふ……っ」


俺の、この、自分でも呆れるぐらいの仄暗い欲求のことは。


「……昔はさ、」


軽い酸欠状態に陥り、肩で懸命に息をする莉華を支えて、話す。


謝りはしないよ。


だって、これが、俺の"本当”だから。