「臨海学校?」

あたし───神田彩音(本名、神崎彩音)は聖理奈の言葉を聞き返した

「ええ。今年は初等部五年生が行くことになっているの。一週間後よ」

「え?でも、ここから出れるのって一年間に1人だけなんじゃ?」

季節は真夏

外は日が照りつけてとても暑いが、学校の校舎内は冷房がガンガン効いていて涼しい限りの今日

机の上に突っ伏して、今にも寝そうになった頃に

臨海学校があるというまさかの情報が飛びこんできた

「ええ、そうよ。でも、その一人っていうのは毎年毎年いるわけじゃないの」

「どーして?」

「そのひとりに選ばれるには・・・・・・無遅刻無欠席を、六年間連続で続けなければならないの」

「六年間連続?!」

おいおい・・・・・・学園長

ちょっと情報が違いますぞ?

「で、今年は可能性のあった最後の一人が寝坊して遅刻しちゃったから今年はなし。だから、その可能性のあった一人がいた学年───今年は五年生───が行くというわけ」

「へぇ・・・・・・で、その無遅刻無欠席の子ってのは、誰?」

「結菜よ」

「結菜?」

って、結菜ぁ?!

「そうなのよ!一昨日、つい寝過ごしちゃったのよね!残念だわ!」

とても残念そうには見えない口調で、にこにこと告げる

あ、そーなんだね・・・・・・

「で、いつだっけ?」

「今日からちょうど一週間後よ!しかも2泊3日!すごいわよね!」

「いやまあ、すごいけどさ」

あたしの眼前に顔を近づけてくる結菜をなだめつつ

うむむ・・・・・・とうなる

あたし、泳ぎは得意なんだけどさぁ・・・・・・ひとつ気になるんだよね

魔法の素質を持った人は希少・・・・・・中でも、まだ若い少年少女なんか、人身売買にかけちゃ高く売れる

それを防ぐために、人間界の魔法学校は設立されたと言っても過言ではない