「あいたた・・・・・・」

「弱すぎだろ、お前」

優しいレモン色の髪、輝かしいアイスブルーの瞳の少女が、ボロボロになりながら唸っていた

そのそばには、黒髪の少年が立ち

少女を見下ろしている

「人間界の魔法使いに負けるなんてな?」

「くっ・・・・・・」

少女は、涙を流した

屈辱的な結果

己の力の弱さを知った

いや、元々知っていたのだ

それを思うと、さらに涙がこみ上げてくる

「前代未聞の事件だ」

少年は冷たく言い放つ

「神崎家に泥を塗ったな、お前」

「・・・・・・・・・・・・・」

「有名一族の恥だ」

少年は、その場を立ち去った

"前代未聞"

"神崎家の恥"

彼女に付けられた肩書き

「う・・・・・・う・・・・・・」

彼女は泣き叫んだ

しかし

彼女を助ける者は誰ひとりとしていなかった

家族さえも

友人さえも

彼女を見放した

彼女のいる部屋には、ただただ泣き叫ぶ声だけが響いた

部屋の名は闘技場

少年と少女は戦っていた

"魔法"で

自分の居場所はここにはないことを

少女は───彩音は悟った

自分は神崎家にはいられない

魔法界にはいられないと

もう自分の行くべき場所はもう決まっているのだと

「人間界に、行かなくちゃ」

どのみち、祖父からそう告げられることはわかっていた