「彩音、忘れ物はない?」

「うん、大丈夫だよ」

あの日から三日後

あたしは、特別系と先生たちに見送られてこの学園を去ることとなった

他の生徒は全員自習

はるばる海から由香里さんが来てくれて、幻影魔法をかけてくれる予定だ

そのため、正門の前にあたしたちが集ることは誰も知らない

記憶操作の魔法は、あたしが直々に上空でかけることになっている

その魔法をかけた後、あの森を通って魔法界に帰る

そのつもりだ

「彩音、これ洗濯しといたから」

部屋のリビングで荷物を再確認をしていると、不意に美里から手渡された

それは、藤色のゴスロリ着物ドレスで

これを見た瞬間、色んなことが思い出され

初めのうちは、特別系で戦うとか何とかで

レクは楽しかったな・・・・・・

臨海学校なんて天国級に楽しかったよ!

幽霊騒動の時の美里の怯えかた、もう一度みたいな

「なにニヤニヤしてんだ」

美里に変な顔で見られ、ハッとする

「そ、そんなニヤニヤしてないし」

「してたわね」

キッチンから聖理奈が何かを持ってきた

「これ、今作ったのよ。チョコクッキー。魔法界で食べてくれると嬉しいわ」

「わっ、ありがとー」

聖理奈からラッピングされたクッキーを受け取る

まだ少し温かくて、本当に今作ったってことがわかる

美味しそうっ

「綺麗な金髪ね」

「そう?」

そうそう、今あたしは金髪にもどしてるんだ

瞳もアイスブルーで、もう外国人になった感じらしい

着物ドレスをキャリーバックにつめ、鍵をかけた