「高校生の時ってさ、泣いたり笑ったり怒ったり。いろいろあったよね?」

あたしは笑いながら、晴斗に言った。

「そうだったな」

晴斗も笑った。

「美緒は階段から突き落とされて記憶喪失になるわ、俺は暴れるわ、鉄パイプを落とされて俺が怪我するわ、挙句の果てには俺がガンになっちまうし」

「ビックリしたし、心配だったし、怖かったし、辛かったし、苦しかった……だって、晴斗の黒い肌が白くて、元気でクールな晴斗の声が、小さくなったし、元気で丈夫な体が震えてたし……」

「そうだな……自分でもビックリなくらい、ヤバかった」

「でもさ、助かった時、目を覚ました時、すごく嬉しかった。何回も思った。生きててくれて、ありがとうって」

「美緒……」

「そしてね、大好きだよ、愛してるとも」

「……っ!」

大きく見開かれた目。少し頬が赤い。