くるりと反対方向を向くと、そのままスタスタと歩き始めた。



あれは…やっぱり千衣だよな。



「千衣!!」



隣にいる女の手を振り払い、急いで駆け出す。



追いつき肩を掴んで振り向かせると、思いっきり顔を背けられた。



「ウソつき」



「心配して迎えに来た?」



「…違うから。牛乳とパンがなくて、それを買いに来ただけ」



家の近くにコンビニがあるし、ここまで来なくても買える物だよな。



「遅くなってごめんな、時間たつの忘れてさ」



「女の子と一緒で楽しかったんだよね。いいじゃない、陽向くんはいつもそうだもん。無理にあたしに構わないでもいいよ」



あーっ、なんで俺ひとりで帰らなかった?



せめて今日ぐらいは、身の潔白を証明するためにも急ぐべきだったのに。