「ごめん…やっぱここまで」



「えっ…ダメ!一緒にいて」



策略なのか?



まりあちゃんは俺にギュッとしがみついてきた。



もう…ムリ。



『他の女の子に優しくしないで』



千衣の声が聞こえてくる。



これだよな、きっと。



優先しなきゃいけないのは、千衣だけだってこと。



「お前さー…俺のこと好きなの?」



「えっ…」



信じられないといった風にまりあちゃんが俺を見上げる。



そして困ったように眉を寄せると、軽く耳に髪をかける仕草。



「違うよ…」



「だったら、必死で間中のこと探せよ」



「できないの…だから、陽向くんと…」



泣きそうだけど…もう騙されねーから。



「勝手に泣いてろ」



俺はまりあちゃんを残し、走って校舎の階段をのぼった。



キツいよな…。



けど、もうこうするしかなかったんだ。