ああーっ…。



驚いた拍子に、膝の上からお弁当箱をこぼしてしまった。



見事にひっくり返る。



無残にもその場に散らばるおかずたち…。



「わりっ!ぎゃー、どうすんべ」



大慌ての陽向くんを見て、思わず吹き出してしまった。



「もう、いいよー。そんなにお腹減ってなかったの」



ドキドキし過ぎてお腹いっぱいだよ。



「や、そーいうわけにいかねぇだろ。すぐ、なんか買ってくる」



「元はと言えば、あたしが悪いんだし」



「千衣は悪くねーじゃん。待ってろ、すぐ!すぐ戻るから!」



有無を言わさずダッシュして行った。



それなら、待ってようかな。



陽向くん…慌て過ぎ。



スマホ落として行ってるよ?



草むらの中から、ポケットから落ちたらしい陽向くんのスマホを手に取る。