「すごい怖かったんだよね。勝手に合カギ作られて、私が家に鍵かけて怯えてたら、その男が合カギで入ってきたの」


クリスマスには似合わない暗い話。


心なしか、グラスに入ってるお酒の色も暗くなった気がした。


「それ以来絶対男の人には家教えないようにしてるの。だから、海さんだけを警戒してるわけじゃないし、こうやって普通にしゃべってるのは本当に楽しいからさ」


こんな話して申し訳ない。


クリスマスだって言うのに。


でも、海さんの目は真剣で、少し嬉しかった。


そんなことで俺を警戒してるのかよ、とか思われたくないし。


バカにもされたくないから。


「そーやったんや。いろいろ大変やってんなぁ。家何回も聞いてごめんな」


申し訳なさそうな顔をする海さん。


「恋愛の話してくれへんかったのもそれのせい?」


……そういうことにしててもいいかもしれない。


できれば渚のことは話したくない。