「俺、ずっと聞きたかったことあんねんけど」


オシャレなグラスに入った大人っぽいお酒を飲む手を止めて、海さんが言った。


「何?」


私も同じように手を止めて海さんを見つめる。


「…俺のこと警戒してへん?」


警戒…か。


普通にしてるときは警戒しないけど、自宅を教えてほしいとか、そういう話になると警戒してしまう。


もう癖になってしまった。


「……昔ね、一応信用してた男友達に自分の家で襲われたことがあってね。無理矢理彼女にさせられて、DVみたいなことされて」


あの時の恐怖は忘れない。


忘れることができない。