「いらっしゃい。お、ついに彼女?」


モノトーンで統一されたお店だ。


カウンターが6席、テーブル席が2つと、広くはないお店だけど、すごくオシャレ。


小物はアンティークなものばかりだし。


「ちゃうわ。職場の友達」


笑いながら海さんが一番奥のカウンター席に座ったから、私もその隣に座る。


「なんや。名前は?」

 
わかりやすく肩を落とした店員さん。


「仁科彩羽です」


やっぱり関西の人って気さくな人多いよね。


職場の人もそうだけど。


「彩羽ちゃんな。OK。俺こう見えてもここのマスターやから」


マスターだったんだ。


若いのに、意外だな。


「マスター、本名教えてくれへんねん。聞いても〝櫻井翔〟やら〝松本潤〟やらアホらしいことしか教えてくれへんねん」