「なんで……？」


琴羽が涙声になってることに今気づいた。


「俺は彩羽が好きだ。それは誰が何と言おうと変わらない。だから今日は凛花に謝りに来た」


誰かを想えば誰かを傷つける。


俺はそんな風な愛し方しかできない。


「もう知らない……。渚さんは最低だよ…」


誰のことももう傷つけたくないのに。


俺が何もしなければ誰も傷つかないのかもしれない。


そう分かってて、彩羽を想う俺は自己チューな人間なんだろーか。


疑問符をつけるまでもない。


自己チューな人間なんだ。


……俺はどうしたらいいんだよ。


彩羽のことは諦めて凛花を想えばいいのか？


そんな簡単にできるわけないし、第一そんな風に想われても凛花だって喜ばない。