「だったら─」


「俺は彩羽にもう一度会って、ちゃんと話がしたい」


凛花のことを忘れることはしない。


俺はただ前に進みたいだけ。


……それは自分勝手な解釈にすぎないかもしれないけど。


「なんで!?最低な女じゃん!仁科彩羽は!そんな女の何がいいの!?」


だから俺のことは好きに責めればいい。


「……俺のことは何とでも言え。だけど彩羽のことを悪く言うな」


彩羽のことは責めさせない。


悪いのは全部俺で、アイツは悪くない。


「仁科彩羽のせいで渚さんは変わった……。仁科彩羽のせいでお姉ちゃんは見捨てられる……。仁科彩羽を悪く言うのは当たり前じゃない…!」


……何も知らねぇくせしてアイツの悪口かよ。


「琴羽には分からない事情がこっちにはあるんだよ。口出しすんな」


責めたかったら俺を責めればいい。


アイツを責めんのは許さない。