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「彩羽ちゃん、これ1卓に」
「はい」
チーズインハンバーグとアイスコーヒーをお盆に乗せて運ぶ。
その時だった。
ガラス張りの壁の向こう。
キラキラ電気が光る街並みが見える壁の向こう。
見えてしまったんだ。
渚の姿が。
つばの広い帽子をかぶった女の人と歩く渚の姿が。
5年前より大人になってる渚の姿が。
ガシャン!!
ハンバーグとアイスコーヒーを落としたことにも気づかなかった。
渚から目が離せなかった。
もう忘れたつもりだった。
渚のことなんて。
海が好きだから。
だけど何でだろう。
胸が苦しくて息ができない。



